将棋界に革命を起こした藤井聡太六冠(20歳)が、5月28日に行われた叡王戦五番勝負第4局で菅井竜也八段(31歳)に勝利し、3連覇を達成しました。この勝利で、藤井六冠は史上最年少で7冠を目指す名人戦第5局に臨むことになります。そんな藤井六冠の魅力や実力に迫ります。

史上最年少で6冠を獲得した天才棋士

藤井六冠は、2017年に14歳2カ月でプロデビューし、その年に最年少タイトル獲得者となる王位戦挑戦者決定リーグ入りを果たしました。その後も次々とタイトルを獲得し、2022年には最年少で6冠(竜王・王位・棋王・王将・棋聖・叡王)を達成しました。また、連勝記録も29連勝という驚異的な数字を残しています。

藤井六冠の棋風は、居飛車を主体としながらも、振り飛車や相振り飛車など様々な戦型に対応できる柔軟性と、攻めと守りのバランス感覚が優れています。また、序盤から終盤まで一貫した読み筋と、相手の意表を突く奇想天外な手も持ち味です。対局中は常に冷静沈着で、時間や形勢に動じることがありません。

千日手の死闘を制した叡王戦第4局

叡王戦五番勝負第4局は、藤井六冠が2勝1敗と王手をかけて迎えました。菅井八段は4局連続で三間飛車を選び、藤井六冠は居飛車で応戦しました。しかし、序盤から中盤にかけて、同一局面が4回繰り返される千日手が2度も発生するという異例の展開になりました。

千日手が成立すると、先手番が交代して指し直されます。つまり、この日は3回も対局が行われたことになります。最初の指し直し局では、菅井八段が飛車先を通して攻め込みましたが、藤井六冠が的確に対応して優勢に立ちました。しかし、終盤に入ってからもう一度千日手が成立してしまいました。

2度目の指し直し局では、菅井八段が角交換から右玉に囲い直すという新手を打ち出しました。しかし、藤井六冠は敵陣に飛車を打ち込んで攻めの拠点を作り、菅井八段の玉を追い詰めていきました。最後は即詰みの形で菅井八段を討ち取り、90手で勝利を収めました 。

最年少7冠への挑戦

この勝利で、藤井六冠は叡王戦で3連覇を達成しました。また、最年少7冠への挑戦権も得ました。5月31日から始まる名人戦第5局では、渡辺明名人(37歳)に挑みます。現在は3勝1敗とリードしており、あと1勝すれば最年少名人&7冠の偉業を成し遂げます。

第5局 会場 長野県高山村の山田温泉「藤井荘」

渡辺名人は19年間タイトル保持者であり、現在は名人位しか持っていません。無冠になる危機に直面しており、必死の反撃を見せることでしょう。一方の藤井六冠は、「いい状態で臨めれば」と語っており 、自信と集中力を持って対局に望むことができそうです。

将棋ファンはもちろん、将棋に興味がない人も見逃せない一局です。歴史的瞬間を目撃するチャンスです。ぜひ注目してください。